私は現在34歳、3人目妊娠中ですが、これは4年前に30歳で初めての子どもを妊娠し、出産した時の話です。妊娠中は大きなトラブルや体調不良に見舞われることもなく、出産予定日3日前の早朝4時ごろにおよそ10分間隔の陣痛に気づき、その日の午前10時くらいに病院に行って入院になりました。初産の場合子宮口が最大に開くまでに10~12時間ほどかかると言われていますが、私の場合入院時に既に6cm開いていると言われ、意外と早く進んでいくかなと考えていました。ところが陣痛の痛みは強くなってきたもののそこから先がなかなか進まず、数時間置きに助産師さんがチェックしてくれたのですが、結果的に子宮口が開大し、分娩室に移動できたのは夜7時をまわってからでした。
分娩室に入ったあとも「初産だから今から2時間くらいはかかると思います」と助産師さんに言われ、調べてはいたので覚悟はしていたものの、強い痛みが来るたびに思いきりいきむのはなかなか大変な時間でした。それでもなかなか赤ちゃんがスムーズに降りてこなかったらしく、1時間以上経ったところで初めて「赤ちゃんが出てくるのに時間がかかっているのでこのままだと吸引分娩になるかもしれません」と告げられました。吸引分娩のことはよく知りませんでしたが、体もつらくなってきていたので「吸引なら吸引でいいから早く出して~」と心の中で思っていました。
それから先生が来て準備が終わるまでに体感で30分ほどかかったでしょうか。機械の準備ができ、看護師さんに思いきりお腹を押されて、一瞬で何かの塊のようなものが自分の体を通り抜けたと思ったら、赤ちゃんが生まれました。無事誕生し、胎盤などの後産も終わってほっとしましたが、実は一番辛いのがこの後でした。会陰の傷の処置をするということで縫合が始まったのですが、出産直後で神経が過敏になっていたのかちくちくと縫われるのがわかるたびに「痛い痛い痛い」と叫んでしまい、先生に「もう100回は痛い、って言ったんじゃないですか」と言われたほどでした。そして、「会陰切開にしても数センチだろうからそんなに時間がかからずに終わるだろう」と勝手に思っていたイメージと違い、かなり長い時間の縫合だったので、助産師さんが横にいて足をさすっていてくれたとはいえ、ある意味出産以上に痛くて辛い時間でした。後で知ったことですが、吸引分娩は短時間で一気に赤ちゃんを出すので会陰の傷も大きく、深くなることが多いそうです。
さらに、出産は終わっても傷の痛みはすぐに治らないので、立つ、座る、歩くなど自分の最低限の動作をするにも痛みを我慢しながらゆっくりとでなければ動けず、そこに赤ちゃんの世話も加わって想像以上に産後の生活は大変でした。会陰裂傷の痛みが治まってきたと感じるまでには1か月ほどを要し、その間は円座クッションが手放せませんでした。また、家には円座クッションも一つしかなく、食事などで1階と2階を行き来する際にはクッションを忘れて取りに戻ったり、家族に持ってきてもらったりしなければならないのも手間でした。そのクッションも、たまたま知り合いから譲り受けたベビーグッズの中にあったのですぐに使えましたが、まさか退院後まで長い期間使うことになるとは思っておらず、もらっていなければ慌てて買いに行かなければいかなくなるところでした。
これから出産を迎える皆さん、わざわざ吸引分娩など異常時のことを聞いたり調べたりするのは不安も募ってしまうかもしれませんが、出産は、順調に進んできても最後までどうなるかわかりません。私のように最後に思いがけず吸引分娩で大きな会陰裂傷が起こり、予想もしてなかった円座クッションが急に必要になったりするかもしれません。分娩の方法、それによって起こり得る事態、必要になってくる物など、先生や助産師さんに聞いたり、インターネットで情報を集めたりして、急に慌てないためにしっかり出産に向けた準備をしてくださいね。