初めての妊娠がわかった時は32歳になっていました。そろそろ子どもも欲しかったし、ちょうどいいと思ったのですが、双子を妊娠していたのは完全に予想外でした。もちろん嬉しかったのですが、それ以上に不安なことがたくさんでした。産後の赤ちゃん2人のお世話や経済的な面はもちろん、まず出産前に問題が山積みでした。何といっても、お産を受け入れてくれる産院が少ないのです。双子つまり多胎妊娠はそれだけでリスクのある妊娠だそうで、NICUやGCUなど新生児のケアができる設備を持つ病院でなければ、まず受け入れてくれません。
私は結局、大学病院で産むことになりましたが、家からは電車の乗り換えがあるので行くだけでも大変でした。さらに、通常は4週間に1度の妊娠初期~後期の妊婦健診も、多胎妊婦は最初から2週間に1度でした。赤ちゃんの様子が気になるし、リスクの説ばかりされていて不安も多かったので、病院に行くと安心ではありましたが、忙しい妊婦生活でした。
出産方法についても自然分娩にもトライできるけど、赤ちゃんのことを考えたら帝王切開がより安全ということで、強制ではなかったものの、帝王切開で産むことに気がついたらなっていた感じでした。結果的に赤ちゃんが2人とも無事に産まれてきたので、今は自然分娩にこだわらないで良かったとは思っていますが、出産から3年経った35歳の今になっても帝王切開の傷跡がチクンと痛んだりかゆいことがあるので、自然分娩だったらどうだったかなとは考えてしまいます。
また、私がお世話になった病院では、多胎妊婦は産前は必ず早めに入院することになっていたので、これが憂鬱でした。早産防止の管理入院ですが、私は幸い経過も良く、お腹の張り止めを内服するくらいだったので、それなら気を遣う病院よりも、出産前の最後の猶予期間は家にいたかったと思いました。管理入院中は赤ちゃんの心音で調子を診るノンストレステストは毎日あれど、検査は毎日ではなかったので正直暇でした。
しかも場所は大学病院で、同室の人もどうやら何らかのリスクを持った方たちだったようで、夜中に緊急治療をする音がしたりと落ち着きませんでした。管理入院の間にママ友でもできるだろうかと思っていましたが、そんな世界ではなかったのが辛かったです。病棟内は自由に歩けたし、シャワーを浴びるのも自由にできたのが唯一の救いでした。それでも病院の1階にあるコンビニやカフェに無性に行ってみたくなることもあり、産前最後にストレスな日々を過ごしてしまったと思っています。しかし無事予定の日に帝王切開で2人の赤ちゃんを産むことができたので、あの日々も無駄ではありませんでした。
しかし産後の入院生活、これはとても嫌なものでした。当たり前ですが帝王切開の傷は痛いし、術後はしばらく寝たきりなのです。足には血栓防止のエアークッションを履かされ、点滴は常時繋ぎっぱなしです。スマホをとろうとするだけで体に激痛が走るのには本気で涙が出ました。が、私はここで最大のミスをしてしまいます。通常、大学病院の産科は大部屋ですが、さすがに術後の体は辛いからでしょう、個室に入れてくれます。が、私は「術後は早く動いた方が傷の治りがいい」と聞いていたので、体が辛くないかと看護師さんに聞かれた時「なんとか大丈夫です」とか「耐えられるくらいです」と答えました。すると、大学病院は緊急度や重症度が高い患者さんが優先ですから、私は即個室を出されて大部屋に戻されてしまいました。しかも、術後の次の日に病室まで歩いてです。有無を言わさずその日から大部屋で双子のお世話が開始…。体は辛いし大部屋で気を遣うしで本当に大変でした。結局、個室にいられたのはたった1日。これなら、少し大げさでも体がまだ辛いと言い張って個室にいた方が体も心も楽だった…と大部屋で後悔しました。
これから産科に入院生活に入られる方は、管理入院であれば趣味のものをこれでもかと持ちこむと気が紛れておすすめです。パソコンやスマホも暇つぶしには持って来いですよ。そして、大学病院で帝王切開をする予定がある方は、産後は無理をしない方がいいと私は思います。術後の早期離床はたしかに良いそうですが、それ以上に産後の体は疲れています。できることなら個室を希望しておきましょう。赤ちゃんの健康も大事ですが、産後のママの体もとても大事です。まずはママ自身が自分の体をいたわってあげてくださいね。