現在37歳の専業主婦です。私が出産したのは33歳の時でした。初産での恐怖心もあり、痛みに弱いうえ、体力の無い私は妊娠がわかった時から無痛分娩のできる産院を探していました。無痛分娩ができる産院は車で1時間ほどかかる場所にしかなく、検診などは毎回大変でしたが、なにしろ無痛分娩最優先で決めた医院だったので、そこは我慢して通いました。
無痛分娩を選択したことで、周りからは「子供に愛着が湧かないのではないか?」「麻酔は危険を伴うのではないか?」と批判や心配をされる事もありましたが、自分で決心したことなので、そこは堂々と自信を持って対応出来ていたのではないかと思います。もし無痛分娩を選択される方には、中途半端な気持ちで選択すると、周りからの反応や情報にモヤモヤしてしまうので、充分に決心を固めてから決めることをお勧めします。
そうして無事臨月を迎えたある夜、夜の2時頃に突然の大量破水をしました。破水をしたからといって特に陣痛が酷くある訳でもなく、病院まで車で1時間という道のりは本来は問題ではないのですが、やはり気持ち的には1時間はとても長く感じました。病院に着いてからは、陣痛が10分間隔になるまで陣痛促進剤を打ちながら待つことになります。その間に便を出すために浣腸をしたり、着替えを持ってきてもらったり、両親や主人と談笑しながら待ちます。朝には陣痛促進剤が効いてきて、結構本格的な痛みがし襲ってきますが、まだ麻酔は打ってもらえず、無痛分娩と言っても結構痛いなぁ…と感じていました。
その後10分間隔になったのは約12時間後のことで、その頃には陣痛が来ているあいだは話すことも出来ませんでした。ようやく処置室に連れていかれ、いよいよ麻酔を打ってもらえます。麻酔は腰の中央あたりの脊髄に打ちますが、陣痛の痛みで針の痛みが感じないほどでした。薬液が注入されてくる感覚があり、途端に陣痛が消えました。それから陣痛感覚が短くなるまで、暫くそのまま待機するのですが、痛くないのに陣痛が来ている波形がわかる機械が反応していることが妙に不思議な感覚で、隣の部屋からは別の妊婦さんの凄い叫び声が聞こえていて、なんだか現実味のない感覚でした。
多分1時間以上そこに居たと思います。看護婦さんが何度か来てくださって陣痛の間隔を見て、またどこかへ行きます。本当に全く痛くなくて、お腹の感覚もなくて頭には影響ないはずなのですが妙にボケーっとしてしまいました。多分もう2分間隔くらいになったのでしょうか、分娩室に運ばれ分娩台に乗るのですが、もちろん痛みがないのであっさり自分で移動しました。(あー。このまま産まれるなんて、やっぱり無痛分娩って凄いなぁ)なんて呑気なことを考えていました。先生や看護婦さんにいきみ方を丁寧に教えてもらいました。とは言ってもお腹に力を入れる感覚は無いので、ここを持って引っ張りながら息を吐いてこの辺りに力を入れる感じ…というような説明でした。私もその通りに進めていました。
ところが、何度も何度もそれをさせられたのですが、一向に降りてこない赤ちゃんに、先生や看護婦さんたちも少しずつ焦りを見せ始めました。そして私自身も、痛くないのに汗が出てきて、おかしいなと思ってたら、本当に突然すごい波の痛みが来て、痛すぎて気を失いそうになるけれど、気を失いきれないようなそんな状況に、先生痛い…というのがやっとでした。追加の麻酔もうちょっと待って!もうすぐ産まれそうだから!と先生に返され、本当に死ぬんじゃないかと思いました。あの痛みは陣痛の感覚が徐々に短くなった人ならまだしも、まったくの無痛から突然味わったものには到底耐えられるものではなかったと思います。
その後赤ちゃんはへその緒が首に巻きついていて降りてこなかったらしく、余計に時間がかかったようですが、無事に産まれてきてくれました。ただ、私は3日間歩くことも一切できないほど憔悴しきってしまいました。無痛分娩も最後まで痛くなければ最高ですが、途中で麻酔が切れた際は覚悟しておいてください。