現在52歳の私が出産したのはもう17年も前になります、不妊と不育症の末36歳でやっと子供を授かる事が出来ました。正直言って不妊と不育症の事で頭がいっぱいで、当時は無事に生まれれば生み方なんて何でもいいと思っていました。痛くても痛くなくても無事に生まれさえすればいい、産み方を選ぶ事などまったく考えもしませんでした。
そんな私が選んだ産婦人科医院は地元では昔から有名な人気医院です。立地的にも住まいから電車で1駅で駅から徒歩3分、そして勤め先から徒歩8分というとても便利な場所である事と一度受診してみた時に混んではいるけれど清潔な雰囲気が気に入りました。肝心の先生は、少し厳しそうですが信頼できそうな方でしたので迷う事無く決めました。この時点でも分娩方法についてはまったく調べる事すらせず普通分娩でいいと思っていました。
そして定期健診に通い安定期に入った頃に病院主催する出産についての講座で初めて知ったのが、この病院が推奨する「ソフロロジー」という分娩方法でした。ラマーズ法はよく知っているけれどソフロロジーって何と思いますよね?ソフロロジーとは…
スペインの精神科医が提唱した「身体的・精神的安定と調和をいかにして得るか」を研究する学問。その考えを出産に生かしたのが「ソフロロジー式分娩」だそうです。ヨガや瞑想のような感じと考えてもらったらわかりやすいかと思います。
DVDディスクも渡されどんな出産なのかを勉強しておいて下さい!と先生に言われとりあえずは見てみました、でも見ただけでそんなにうまく出来るものなのか?という疑問だらけでしたし、リラックスすれば出産は痛くないんだよ~ともっともっと洗脳してもらわないと全然無理じゃないだろうか…と思いながら何回かはDVDを見ながら呼吸と瞑想をこころみました。リラックスできるような音楽と共に呼吸法と体制を整えて瞑想しながら自然に生むという流れの分娩です。音楽以外何も使いません。言わんとすることは十分に理解できるのですが、そんな理屈がわかったからって本当にできるのか?初めての出産で痛みも無く自然に生めるなんてまったく信じられませんでした。
確かにこの病院の先生の指導は厳しくて、体重増加するととても叱られます。旅館の朝ご飯のような和食を食べること、体重を出来る限り増やさない事が重要らしいのですが…実は流産が怖くてかなり安静な日々過ごしてしまった私は当然のように体重が増えてしまいました。健診のたびに叱られる日々を乗り越えいざ!出産の時を迎えました。
なかなか子宮口が開かず分娩室に行くことが出来ず、陣痛の時からソフロロジーは行わなければいけないはずなのですが破水して入院したので分娩前の処置やら子宮口の確認、赤ちゃんの心拍を測る機械もつけているのでとても落ち着いてリラックスできる状態ではないまま痛みにひたすら耐えて時間が過ぎていきます。(看護師さんからもソフロロジーの指導を受ける事もまったく無かった)
そして痛みに苦しみながら何十時間過ごしやっと分娩台に上がるとそこには呼吸法に合わせてついたり消えたりする照明とそれっぽい音楽が用意されていたのですが看護師さんの声かけなども慌ただしくて瞑想などとてもじゃないけどできません。看護師さんに言われるがまま呼吸をし痛みにおののきながら必死に生んだ赤ちゃんはとても元気でしたが、お腹で大きく育っていたので先生にまた叱られ…。分娩室の雰囲気だけはソフロロジーだったのですが振り返るとやっぱり普通分娩でした。
無事に出産できたので何も問題は無いのですが、私が妊娠中に毎日瞑想練習せず身体の管理を怠ったダメ妊婦だっただけで皆さん本当にうまくできて痛みなく出産されているのかが凄く気になったので産後他の方々に聞いてみた所…。皆さん口を揃えて痛くて瞑想どころではなかった、あんなの出来る人いるの?とおっしゃっていて初産の方も2人目、3人目の方も同意見だったのでほっとしつつなんだか可笑しくてみんなで笑いました。
きっと妊娠してから始めた所で無理なのかもしれません、普段から日々瞑想する習慣を身につけていてこそのソフロロジー効果なのではないでしょうか?本当に痛みなくリラックスして出産できたら素晴らしい事です。普段からヨガをしていたら効果があるのかもしれませんね。