私が40歳くらいの時、新潟県で飲食店を営んでいました。昼から始まって、夜10時まで営業していました。飲食業をやっていると様々な営業がやってきます。基本、そういったたぐいの営業の方の勤務時間は、お店の営業時間と重なりますので、様々な営業がいました。営業を主体に、入店するなり話を切り出す人、わざと(なのかどうかは分かりませんが)客を装って、注文してから営業話を持ち掛けてくる人、人それぞれでした。
その中でも印象に残っている人がいます。某グルメサイトの営業だったのですが、年齢的にまだ若く、経験不足とは思いましたが、いくら何でも勉強不足というレベルでした。男性で中肉中背。若い割には残念な体型です。倍くらい年を取ると「貫禄」といういい意味の表現ができるのですが、年齢が若すぎます。外見はさておき、問題はその後の質問などの受け答えでした。私も営業のようなことをしていましたし、当店と取引しようという営業ですので、少なくてもネットで検索したり、実地での少々の調査を行ったりしてから、飛び込みするという手法がオーソドックスと考えていました。しかし、その考えは彼によって真逆に覆されてしまいました。
彼は注文を行ってから、営業をし始めるタイプだったのですが、席に座ると同時に「ここは何が食べられるんですか」という質問。まだ、この段階ではどこかの営業の人間とは思わず、一般のお客様と思っていましたので、丁寧に答えました。ちなみに入口には、何を食べられるのかわかるように、のぼりがあるのですが。注文が入ったため、彼のために料理を作ります。何かおかしいと思いながらも、心を込めて愛情いっぱいの料理を提供しました。食べ始めたのですが、まあマナーが悪い。スープを飲む時には大きな音を立てて「ズズズー」、何かわけのわからない独り言をブツブツ言いながら食べています。入ってきた時の態度が態度でしたので、心の中では二度と来るんじゃねえと、思ってはいけないことを思ってしまいました。
さて、食事が終わり、会計作業の前に呼ばれました。ここから営業がスタートです。といっても、同様のサイトにすでにお願いしていたこともあり、その際に今回の営業の人のサイトについても十分調べたため、大体の内容を把握していました。すでに天秤にかけて切ったほうの会社の営業です。その営業内容も困ったものでした。彼の冒頭の説明を遮り「大体わかるから要点だけ」と念を押したにも関わらず、マニュアル通りの説明。研修などもあったはずとは思いますが、プレゼン初心者等によくありがちな、資料を見ると全てが把握できて、言葉はいらないというダメな見本のような営業でした。引き付ける部分がなかったんですよね。
話半分で、資料をめくると私が把握していたのと違うプランがあることに気づきました。説明を求めると、あからさまに嫌そうな顔をします。彼の押していた契約プランと比べると格安でしたので、営業ポイントも低いのでしょう。でも、それをお客を目の前にして、あからさまに表現してはいけません。あまりにもひどい態度だったので、「契約する気があるのか、ないのかどっちだ。当サイトで掲載させてくれとお願いに来ているのであれば、本来契約料は無料なのではないか」と無理難題を押し付けてみました。すると、「上司に確認します」と携帯を取り出し始めたので、無言で止めました。あきれてものも言えなくなりました。
プランは魅力的だったので、契約したかったのですが、サポートする人がこの人では頼りないというところで、直接私から営業所に連絡を入れて契約しました。その時には前に来た営業の上司と名乗る人が来て、スムーズに手続きを行ってくれました。若さゆえ、経験不足が原因だったとは思いますが、1人で営業に出る限り、その会社の顔になります。そのあたりの意識をキチンと持ち、一般常識(飲食系なら、最低限の食事マナー)を身に付けてから営業に回ってもらいたいです。